地上デジタル放送が普及する中、さらに豊富な番組ラインナップや高画質な映像を楽しみたい方に人気なのが「BS放送」です。BSアンテナを設置することで、映画やスポーツ、ドキュメンタリー、音楽など、地上波では視聴できない幅広いコンテンツが楽しめるようになります。しかし、BSアンテナを設置するにあたり、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、BSアンテナ設置前に知っておくべき事項を5つに分けて解説します。
1. BS放送とは? 地デジとの違い
まず最初に、BS放送と地上デジタル放送の違いについて知っておきましょう。BS放送は「Broadcasting Satellite(放送衛星)」の略で、衛星を通じて送信されるテレビ放送のことを指します。地デジ放送は地上の電波塔から送信されるのに対し、BS放送は宇宙の衛星から直接電波が送られてくるため、広範囲での視聴が可能です。
BS放送には、主に以下のような特徴があります:
- 番組ラインナップが豊富:地上波では見ることができない映画専門チャンネル、スポーツチャンネル、音楽番組など、多彩なジャンルの番組が揃っています。
- 高画質・高音質:地上波よりも高いビットレートで映像や音声が送られてくるため、クリアで臨場感のある映像・音声が楽しめます。
- 全国どこでも視聴可能:地デジ放送とは異なり、電波状況に左右されにくく、衛星から直接電波を受信するため、日本全国で同じ放送を視聴できるのが特徴です。
こうしたBS放送を視聴するためには、専用のBSアンテナを設置し、BS放送対応のチューナーが内蔵されたテレビやレコーダーを用意する必要があります。
2. BSアンテナの種類と選び方
BSアンテナにはいくつかの種類があり、設置環境や使用目的に応じて選ぶことが大切です。主に使用されるのはパラボラアンテナですが、その形状や性能に違いがあります。
- スタンダードなBSアンテナ:一般的に広く普及しているのが、直径45cmのパラボラアンテナです。このサイズのアンテナであれば、日本全国で十分な電波を受信することが可能です。
- コンパクトアンテナ:設置スペースが限られている場合や、外観をすっきりさせたい場合には、直径35cm程度のコンパクトアンテナを選ぶことができます。ただし、強風や降雪地域では、45cm以上のアンテナの方が安定した受信が可能です。
- CS/BS共用アンテナ:BS放送に加えて、さらにCS放送(スカパー!など)も視聴したい場合は、CS/BS共用アンテナを設置するのが一般的です。CS放送は契約型の有料放送で、スポーツや映画、アニメなど専門チャンネルが揃っています。
選ぶ際には、自宅の立地や視聴したい放送内容に応じて適切なサイズ・種類のアンテナを選びましょう。
3. 設置場所の選定がカギ
BSアンテナを設置する際に最も重要なポイントの一つが、設置場所の選定です。BS放送は衛星から電波を受信するため、南西の空に向けてアンテナを設置する必要があります。受信方向に障害物があると電波が遮られてしまうため、周囲に高い建物や木がない場所を選ぶことが大切です。
- ベランダや屋根の上が一般的な設置場所ですが、環境によっては壁面に設置することも可能です。設置場所の選定に迷った場合は、プロのアンテナ工事業者に相談すると良いでしょう。彼らは電波測定器を使って、最適な位置を提案してくれます。
- また、強風や積雪の多い地域では、アンテナが風や雪に晒されることで故障のリスクが高まります。そのため、設置する場所の強度を確認し、風や雪に耐えられる設置方法を取ることが必要です。
4. BSアンテナの設置方法
BSアンテナの設置は、地デジアンテナと比べて少し手間がかかりますが、基本的な設置手順は以下の通りです。
- 方位の調整:まず、南西の空に向けてアンテナの向きを調整します。衛星からの電波を正確に受信するためには、角度が非常に重要です。設置時には「アンテナ方位調整アプリ」や「衛星受信方向チェッカー」といったツールを利用すると便利です。
- アンテナの固定:設置場所が決まったら、専用の固定具を使ってしっかりとアンテナを取り付けます。台風や強風の影響を受けやすい場所に設置する場合は、特に強固な取り付けが必要です。
- 配線と接続:アンテナからテレビまでの配線を行います。BS放送の場合、受信した信号を増幅するためにブースターを設置することが推奨されます。ブースターがないと、映像が途切れたり、ノイズが入ることがあります。
- 信号の確認:アンテナの設置が終わったら、テレビやチューナーでBS放送を受信できているかを確認しましょう。設置位置や角度がズレていると、信号が受信できず、放送が映らないことがあります。
5. 設置後のメンテナンスと注意点
BSアンテナは、一度設置すれば長期間使用できますが、定期的なメンテナンスも重要です。特に屋外に設置するため、風雨や雪によって劣化が進む可能性があります。
- 定期的にアンテナの向きや固定状態を確認し、問題がないかをチェックしましょう。強風でアンテナがずれたり、固定が緩んでいる場合は、早めに修理や調整が必要です。
- また、雪の多い地域では除雪作業が必要になることもあります。雪がアンテナに積もることで信号が遮られ、映像が途切れることがありますので、こまめに除雪を行いましょう。
設置後に問題が発生した場合でも、長期保証が付いている業者を選んでおけば、安心してメンテナンスや修理を依頼することができます。
まとめ
BSアンテナの設置は、豊富な番組ラインナップや高画質な映像を楽しむために欠かせない設備です。しかし、設置場所やアンテナの種類、方向の調整など、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。設置後も定期的なメンテナンスを行うことで、長期間安定した受信環境を維持できます。もし、設置や調整に不安がある場合は、プロのアンテナ工事業者に依頼することをおすすめします。